プロファイリング概要③:プロファイリングの実践方法
- 2018.12.29
- 脳みその教科書

どーも皆さんこんばんわ
大賢者の名を騙る安楽椅子探偵
ガンダルフと申します。
前回から引き続き、FBIのプロファイリング方法を解説しております。
まだお読みでない方はコチラから。
サクラメントの吸血鬼事件:答え合わせ
サクラメントの吸血鬼事件をプロファイリングしたFBI捜査官、ロバート・レスラーのレポートを以下に示します。

「犯人は27歳の白人男性で、栄養失調により痩せ型をしている。
家はひどく汚く、犯行の物的証拠はその家から発見されるだろう。
精神病で既往歴があり、麻薬乱用の過去もある。
友人との交際はなく単独行動を好み、ほとんどの時間を家で過ごし、生活保護を受けている。 両親と同居している可能性は薄い。
軍歴も経験もなし。1つか2つの精神病に罹患している。
現場から1.5キロ以内に住んでいて、近所をよく知っている。
外見はだらしがなく、奇異な姿だろう。」

かなり詳細に犯人像を描いていますね。
一見専門家だから可能な推理だろうと思いがちですが、実は前回の記事に書いた犯人の特徴をそのまま当てはめた物ばかりです。
犯行現場の様子から、無秩序型の犯行に当てはまります。であれば、犯人像は無秩序型のリストからもってくればいいだけです。
また、この事件に関して元行動科学科の捜査官ヴォーファーゲルも、事件資料を見てほぼ同じ犯人像を思い浮かべたと、著書に記載してあります。

そう!プロファイリングは特別な知識と才能が必要な分野ではなく、学習と経験を積めば誰でも同じ結論に至ることができる学問なんです。
ですがレスラーのプロファイリングには、無秩序型リストに当てはまらない箇所も出ていましたね。
27歳という定義は、精神病による妄想で人を殺すような犯人で、現在精神病院に入院や収監されておらず、妄想が活発だとすると大体20代後半だろうし
犯人は痩せているという定義は、血液を飲むというタイプの犯人は重度の妄想型精神疾患を持っている可能性が高く、その場合まともな食事を避けがちであるといった、精神医学的な知識を踏まえて行われています。

さて、サクラメントの吸血鬼事件の結論ですが、1月28日に犯人は逮捕されます。
目撃者の通報を受けて犯人のアパートに踏み込んだ警察は、壁や床、浴室や家具まで部屋中すべてが血みどろの様子に驚きます。
冷蔵庫には、動物や人間の臓器が山ほど保存されており、ベッドの上には子供の脳が置かれていました。
犯人の名前はリチャード・チェイス。
どんな男だったのかは語るまでもなく、前述したレスラーのレポート通りの男でした。
ちなみに、27歳ってのもピッタリ。
彼は後に死刑判決を受けますが、隠し持っていた抗うつ剤を致死量飲み干し、自殺しました。

行動の一貫性が前提だけど・・・
もちろんプロファイリングは、犯人の行動は一貫していることが前提で効果が出るものです。
毎度毎度、犯行方法や現場の様子を変えてくる犯人は、警察を欺くためにわざとやっていると考えるのが無難でしょう。
ですが無差別な連続殺人は、多くの場合自分の欲求に従ったものであり、自分だから可能なパワープレイ、つまり”作品”のようなものだと認識しがちです。
逮捕されたサイコパスは、自慢げに自分の反抗を供述する点からも分かります。
また犯人は、逮捕を最も恐れるため慣れたやり方以外の方法を取りにくいという点も考慮すると、やはり一貫性のある犯行が多いんではないでしょうか。
犯行方法を逐一変えるなんて、マンガや映画の中くらいのもんってことです。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
プロファイリングは、ビッグデータによる統計学を用いた科学的捜査法だということがお分かりいただけたと思います。
「最近サイコパスの記事ばっかりだけど、ガンダルフさんヤバくないっスか?」というご意見を頂きましたが
わたしはいたってせいじょうです。
今後も過去事例を調査しデータを集め、あなたの探偵力の向上に活かして頂ければと思います。
リバプール式のプロファイリングでは、実際に”回帰”と”分類”を用いた方法を採用しています。
というか、生きてりゃどっかで必ず統計学にぶち当たるから、早めに知っといた方がいいよ。ただでさえ現代は機械学習の時代だし。
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