ジャスティン・ディケンズ:1人のサイコパスによって貶められたコカイン中毒者

ジャスティン・ディケンズ:1人のサイコパスによって貶められたコカイン中毒者
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どーも皆さんこんばんわ

ゲーム探偵でおなじみ、ガンダルフと申します。

 

めっきり春の様相を呈してきましたね。

春になるとおかしなヤツがよく出るといいますが、2019年の春直前を最もにぎやかしたのは”ピエール瀧”のコカイン事件でした。

 

それにちなんで、今日はコカインが引き起こした悲しい事件の話を少々・・・。

 

 

ジャスティン・ディケンズ

 

(1978年~)

 

幼少期

テキサス州アマリロで生まれたジャスティンは、母親がヤク中であったことから早産でした。

両親は、ジャスティンが13歳になるまでは不仲でありつつも一緒に居ましたが、結局離婚。母親を擁護した彼は、母と共に生活するようになりました。

 

その擁護が正しかったのか間違っていたのか、ジャスティンは

母親から薬物を貰っては、共に強盗を行うようになります。

 

クスリを買うための金を得るため、母と2人強盗を行っては共に逮捕と出所を繰り返すという異常な少年時代を過ごしたジャスティン。

15歳になったある時出会った刺青師、ダラス・ムーアに心酔することになります。

 

悪魔の取引

盗んだクスリを売るために、ダラスの家を友人であるクレイグと訪れた時、ダラスの家はドラッグパーティーの真っ最中。ダラスに勧められてジャスティンは、コカインを吸引しました。

言葉巧みで面倒見がよく、ダラスとすぐに打ち解けたジャスティンは、彼に魅力を感じ、憧れていました。

2日後のドラッグパーティーに呼ばれた際、注射は打たないと固辞していたジャスティンでしたが、憧れのダラスからの提示によって、ついにコカイン注射を受け入れます

 

そうなれば、もはやどん底まっしぐら

 

吸引による影響とくらべて、血中に注入した際の影響は段違い。

新米ボクサーの左ジャブと、ヘビー級チャンピオンの右ストレートくらい強さが異なります。

 

ジャスティンは、ダラスの奥さんマーサとも仲がよくなり、ダラス家へ入り浸るようになりました。

 

 

マーサももちろんヤク中。コカインは最強のドラッグといわれるとおり、ヤク中なら喉から手が出るほど欲しい存在

ある日、マーサはダラスに精神安定剤を多量に摂取させ、そのポケットからコカインを盗み取りました

大量に摂取してピークを迎えたマーサは、ジャスティンとクレイグを連れ出し三人で街へ向かいます。手に入れたコカインを売りさばこうとしましたが、客が捕まらなかったため

全て三人で使用しました。

 

 

罪の代償

数日後、自宅のソファで寝ていたジャスティンは、首筋に当てられたナイフの感触で目が覚めます。目の前にはダラス、どうやら盗みがバレたようでした。

クレイグも呼ばれ、ダラスの家に連れ去られ、マーサと三人並んで殴られ蹴られ、責めたてられます。

「マーサを大通りへ連れて行け、売春婦にして稼がせろ」

恋人を売るのかと問いかけてぶん殴られ、「なら、手段を選ばず金を持ってこい」と壁に掛かった目出し帽を指差されました。

ダラス自身、金に困った際は強盗で身を立てており、その際に使用する目出し帽でジャスティンに”俺に倣え”と言い放ちました。

 

1994年3月14日、クレイグと共に銃を持っている曽祖父の家へ向かい、銃を盗み出して街へ戻ります。ターゲットとして選んだのは宝石店でした。

 

クレイグが運転のため車に残り、ジャスティンは直接店内へ

店内には店主と客が1人。絶好のチャンスです。

法律よりもダラスが怖かった彼は、普通の顧客を装い入店し、店内の人たちが背を向けたとたんに銃を抜きました。「離れて伏せろ」と命じて、金を要求します。

 

そこで奮ったのは店に居た顧客のアレン・カーター。

伏せると見せかけてジャスティンへ

捨て身のタックル

 

ジャスティンを壁へ押し付け、銃を奪い取ろうと試みます。とっさのことに驚いたジャスティンは

引き金を2回、弾いてしまいました。

 

一発目は外れましたが、二発目の凶弾がカーター氏の手のひらを付きぬけ、額へ深々と突き刺さります。

店主は急いで裏口から逃げ去り、事なきを得ました。

銃は脅し道具。金さえ手に入れば何でもよかったはずがこんなことになってしまい、逃げ出そうとするジャスティンですが、アメリカの宝石店は入り口に鉄格子をはめて強盗の侵入を防ぐ作りになっており、内側からも鍵がなければ操作できません。

残った弾丸をドアにぶちまけますが、開きません。 

冷静さを少し取り戻し、急いで店主が逃げた裏口の扉を開けたときには、クレイグが丁度走り去る瞬間でした。

 

「目が合ったのに、俺を見捨てた。俺の人生はいつもこうだった」

 

逮捕、そして裁判

ジャスティンは何とか現場から逃走しましたが、3日後に逮捕。

ファレン地方検事が彼の裁判を受け持ちましたが、この検事はどうやらやり手だったようです。

「もみ合った」という店主の証言とジャスティンの証言は一致しているにも関わらず、法的医療記録や現場の証拠からファレン検事は「2人は距離的に離れていた」と主張。

殺意の有無というのは極めて重要で、それだけで極刑か否かが決定するといっても過言ではありません。もみ合ったのが事実なら、被害者に過失があるとされてジャスティンは死刑を免れます。

しかし店主の証言はパニック状態であったことによる妄言だとされ、裁判員もファレン検事を支持しました。

 

もちろん「ジャスティンは、ダラスに命じられて恐怖心から強盗を行った」という点が持ち出されました。

 

しかしこのダラス

「そんなことはしていない、二度とうちへ来るなと脅しただけだ」と主張。

マーサは裁判を欠席。

ジャスティンは極刑を言い渡されました。

 

裁判の後、全ては遅かった

連邦判決では、「行為時18歳未満である者の死刑を禁じる」されており、これがなければジャスティンは2005年に死刑執行を受けていたはずです。

しかし死刑宣告の10年後、最低40年の無期刑へ減刑され、2034年以降の仮釈放を待っています。

 

 

実は共にコカインを盗んだマーサが、2018年に公に証言しているんですが

ダラスの「目出し帽を指差し強盗を命じた」という点を肯定しているんです。

 

何故裁判に現れなかったのか。ダラスが怖かったんでしょう。

現在では七児の母親として、境界性人格障害の患者を扱う仕事についているマーサは、「何故ジャスティンが全ての罪を背負うことになったのか理解できない」と言います。

 

ダラスは、ジャスティンの事件後も強盗や薬物による犯行を繰り返し、最後には83歳の老婆を暴行した罪で9ヶ月の逃走の後に逮捕

5件の罪により終身刑を言い渡されています。

 

裁判の時点でダラスの立ち居地がハッキリしていれば、ジャスティンの運命はもう少し違っていたはずです。

ダラスという1人のサイコパスによって、人生を狂わせられたジャスティンは、今何を考えているのでしょうか。