マーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデス③:ラブストーリーは突然に幕を開けるし閉じるよね。
- 2019.06.19
- サイコパス名鑑

どーも皆さんこんばんわ
ゲーム探偵でおなじみ、ガンダルフと申します。
前回、見事なまでに
いやお前がやんのかい!!
という結果を見せてくれたマーサ。
その後二人はどうなるのでしょうか。
早速行ってみましょう。
レイモンド・フェルナンデス

( 1914~1951 )
マーサ・ベック

( 1920~1951 )
ジャネット殺害
実は、ジャネットの殺害の理由については諸説あります。
なぜかというと、マーサの口から語られた動機が
毎度毎度、異なっていたからです。

彼女自身、急激な怒りに身を任せてしまったのでしょう。
一応、「実はレイモンドが殺害したのをかばって…」という線も残されていると思いましたが、ジャネットの殺害方法は”鈍器で殴打”されていた挙句、”スカーフで絞殺”されていました。
外傷から感じられる強い怒り、マーサの犯行で間違いないと思います。
室内を二人で片付け、ジャネットの遺体をタオルやシーツで包んでクローゼットに押し込めました。
一晩をジャネットの家で過ごした翌日、大きなトランクを購入し遺体を詰め込み車で走り出します。
目的地はレイモンドの姉の家。しばらくトランクを預け、11日後の1月15日にトランクを地下室へ埋め、そのうえをセメントで埋めました。
翌週にはジャネットから奪った小切手を即座に現金化。
そしてジャネットの家族にこんな手紙を書きました。
“I am all excited and having the time of my life. I never felt as happy before. I soon will be Mrs. Martin and will go to Florida!”
「最高だわ!こんな幸せ今まで感じたこと無い!もうスグに結婚してフロリダへ言っちゃうわ!うふふ!」
筆跡からばれない様にタイプライターで綴られた手紙は無事に家族の下へ届けられ、スグに通報されました。

ジャネット、タイプライター持ってなかったから。
新たな地へ

マーサとレイモンドはその後、ミシガン州グランドラピッズへ向かいました。数週間、その町に住むデルフィン・ダウニングという41歳の未亡人と連絡を取り合います。
デルフィンは二歳の子供レイネルと二人暮らし。いつもの「チャールズ・マーティン」としてレイモンドはその家族に近づきました。
「今、グランドラピッズの郊外に用があってこの町に来てるんだ」
デルフィンは驚き、すぐに会う約束をしました。
彼が「妹のマーサも連れて行く」といったことは意にも介していません。

1949年1月下旬に、レイモンドとデルフィンは出会いました。
彼の礼儀正しさや、レイネルに対する思いやりあふれる態度に惚れ、共に歩む未来を想像したかもしれません。
マーサの見ていない隙に2人はベッドイン。しかし彼のハゲ頭と頭部に残る醜い傷に失望し、レイモンドをすぐに嫌います。

その後のレイモンドは色々策を講じますが、一切魅力を感じません。
何とか金を奪おうと、マーサに「デルフィンに睡眠薬を飲ませろ」と指示しました。
しかし、眠りについたデルフィンを観てレイネルは大声で泣き出してしまいました。
マーサはコレに怒り狂い
レイネルの首を絞め上げて騒音をストップしました。
殺しはしませんでしたが、彼女の首にはハッキリとアザが残ってしまいます。
「デルフィンの目が覚めたら、すぐに警察に行かれるぞ!」
「あなたも何かしてよ!」
口論の末に、家捜しを始めた二人はそこでデルフィンの夫が所持していた一丁の銃を見つけます。

レイモンドはためらうことなく毛布に包んだ銃で、デルフィンの額を打ち抜きました。
デルフィンはシートで包まれ、地下室に掘った穴に埋葬されました。
次の2日間でデルフィンの所持品を全て現金化しましたが
問題はレイネル。
絶えず泣き叫び、食事を拒むこの子をどうするか。
何度も話し合いましたが結論が出ません。
そしてレイモンドは最後に、マーサにこの子を”処理”するよう言いました。

「私には…私には出来ない…」
マーサはそう言いましたが、既にマーサ自身も殺人事件の共犯者。
犯行を隠す以外に選択肢はありません。
マーサは泣き続けるレイネルを抱きかかえ地下室へ向かい、デルフィンの横に別の穴を掘るレイモンドを横目に
バケツに溜めた水の中へ彼女を沈めました。

街を出るための自由を手に入れた二人。彼らはその後
映画デートに向かいました。
優雅なひと時を過ごした後にデルフィンの家に戻り荷造りを始めましたが、そこに現れたのは
二人の警官
隣人が不審に思い、通用した結果でした。
逮捕
1949年2月28日、2人は逮捕されましたが、レイモンドは17件の事件を全て否定し続けます。

翌日には「Lonely Hearts殺人事件」として全国的に報道され、全ての新聞がトップ記事として掲載しました。
拘留中にはいつでも報道陣が張り付き、「話題の殺人カップル」を面白おかしく書きたてます。
特にマーサに対しては
“fat” デブ
“simpering” 薄ら笑い
“Big Martha” 巨女マーサ
“a 200lb.figure of wreth” 200ポンドの怒れる姿
“the giggling divorcee” 笑うバツイチ
“unattractive” ぶさいく
“a weird woman” 変な女
と各社が競い合うように屈辱的な名前を付けます。
拘留中はあくまで”容疑者”であるにもかかわらず、既に有罪判決を受けているかのように取り扱ったメディアの偏見に満ちた表現により、大衆は”彼らが死刑になる”というイメージは膨らみ続けました。
しかし後に行われた裁判で提出された証拠は、間違いなく二人を犯人と決定付けており、最後にはレイモンドも「マーサのために偽証していた」と認めました。
判決は両名とも死刑。
「自らの犯罪行為についてどう思いますか?」という検察からの問いかけに対し、マーサは「私の持つ”何かに”突き動かされた」レイモンドは「事故」と答えたのを最後に、刑務所に移送されました。
1951年3月

最後の食事にマーサは「フライドチキン、ポテト、レタスとトマトのサラダ」、レイモンドは「たまねぎのオムレツ、ポテト、チョコレート、キューバ産の葉巻」を注文します。
マーサは最後にフェルナンドへ、ラブレターを送りました。
刑の執行前にそれをみたレイモンドは
“The news brought to me that Martha loves me is the best I’ve had in years. Now I’m ready to die!”
“So tonight I’ll die like a man!”
「マーサが僕を本当に愛していると聞けた事は、長い人生の中で最高のニュースだった。死ぬ用意は出来たよ!」
「今夜、俺は”男”として死んでいく!」
電気椅子に座ってからも、マーサへの愛を叫んでいました。
マーサもレイモンドからの手紙を受け取っています。
そこに書かれていたのは「俺が愛した最高の女だ」
それを見た彼女も、「これで安心して死ねる」と呟き、電気椅子部屋へ向かいました。
「私の物語は愛の物語です。しかし、愛によって拷問を受けた人だけが私の意味を知ることができます。新聞に書きたてられたことに対して私は気分が悪く、私は愚かでも悪魔でもありません。私は偉大な愛を抱いています。(そのような侮辱は)レイモンドに対する私の気持ちを強めるだけでした。」 -マーサ・ベック

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