ジョン・ヘイグ③:初めての犯行。それは思い出に残る形で
- 2020.12.18
- サイコパス名鑑

ど~も皆さんこんばんわ!ガンダルフと申します。
どうすれば布団から出ることなく一日をはじめ、終えることができるでしょうか。
枕元にChrome bookを置いていますが、もっぱらYoutube再生装置と化しています。
基本的に私の各記事は通称”コタツ記事”と呼ばれ、自ら取材やインタビューをすることなく書いていくものです。この方法が確立できれば、まったく布団から出ることなく人気ブロガーとして世間を賑わせることも可能で……
無理か。ブログも面倒ではあるな。
生産活動はあまくない。
ジョン・ジョージ・ヘイグ(John George Haigh)
通称:アシッド・マン
変態大移動
彼のやった犯行は、獄中でも大不評。
「思ったからって、ホントにやるのはちょっと違うよね」
という男子小学生のような理由で見事にハブられました。
出所後は実家に戻り、クリーニング屋を開業します。相棒がバイク事故で無くなるまでは順調に生活基盤を築くことが出来ました。
相棒が居なくなったとたん店は廃業、彼は傷心の上で故郷を離れ、ロンドンに移り住みます。
ロンドンでは遊園地オーナーの秘書兼運転手の求人を見て、即座に応募。
彼にとっては新たな人生の幕開けでしたが、雇い主がいつかヘイグの犠牲者になるなんて、当時はだれも思ってはいなかったでしょう。
雇い主であるウィリアム・ドナルド・マクスワン氏は、ヘイグの事を気に入っており、優秀な従業員だと思っていました。自分の両親にも紹介し、マクスワン氏とヘイグは友人関係になります。
2人はとても息が合い、車、服飾、パブなどの趣味も丸かぶり。オーナーに付き従う上でヘイグはビジネスに関しても興味を深め、その後マネージャーに昇進しました。
しかしその一年後、独立のために退職。
マクスワン夫妻は彼が去るのを残念がっていましたが、ヘイグは人のために働くのがどうにも性に合わないようでした。
それでもこの職を通じで、真っ当な道へ歩み始めたのでしょうか。
いいえ。そんなはずはありません。
ヘイグは評判のいい事務所の名前を利用して、偽の弁護士事務所を設立。株などの資産を持て余しているふりをして、小切手が送られてくるたびにサービスを提供することなく即座に現金化。
別の地域でも似たような犯行を繰り返しました。
そのうち法律が彼に追いつき、再び刑務所入り。
4年の懲役をこなし、出所してから1年もたたないうちに窃盗罪で21か月の服役。
この服役中に、彼は二度と刑務所には戻らないと決意して、富裕層の年配女性を狙う犯行計画を立てます。刑務所のブリキ工場で、硫酸の使い方も覚えました。
他の囚人が捕まえてきたネズミを使って実験を繰り返し、体組織に対する酸の影響について研究しました。彼は十分な量の酸と、それを行うための秘密の空間があれば、死体を処分することがいかに容易であるかを発見します。ちなみにネズミは30分だそうです。
出所してからは、エンジニア会社の下で会計士として働くことに。
ごく短期間ですが、社長のスティーブン氏の家に住んでいたこともありました。
2人の娘がいて、上の娘のバーバラはヘイグの音楽に対する情熱に意気投合し、素晴らしい友情を育みます。
しまいには結婚の話まで飛び出しますが、ヘイグは最初の妻と離婚しておらずおじゃんに。
バーバラにとってヘイグは20歳も年上の男でしたが、彼女は彼の親友であることを認め、いつか妻になると純粋に信じていたようです。
犯行への道のり
1944年、ヘイグは交通事故に遭いました。頭部に外傷を負い口内に血があふれたことで、幼少期の血の夢が蘇ったといいます。
奇しくも、ヘイグは同時期に殺人計画を始動。グロスター通り79番地の地下室を借りて、刑務所で思い描いたことを実現する準備に取り掛かります。
ケンジントンの公会堂で、彼は二度の服役前に共に働いていたマクスワン氏と再会。
マクスワン氏は再会を喜び、再び両親に会わせます。両親も喜びました。
両親は最近の不動産投資についての話をヘイグにしました。それはなかなかの収入になっているようで、ヘイグは熱心に耳を傾けます。こうして、マクスワンとヘイグは再び共に過ごすようになりました。
残っているマクスワン氏の公的資料は、1944年9月6日にバーバラへヘイグのために絵葉書を送った記録です。
後に警察が発見したヘイグの日記には、9月9日の記入欄の下に赤いクレヨンで十字架が刻まれていたようです。この日がマクスワン氏の最後の日でした。
急に血が欲しくなったと、ヘイグは鈍器でマクスワン氏の頭部をカチ割り、それから喉を切り裂きました。
「マグカップを持ってきて、彼の首から血を取って飲んだ」
彼は死体を一晩底に放置し、翌日地下の作業室へと移します。
公にしている仕事に必要な量をはるかに超える硫酸に囲まれ、古い40ガロンのドラム缶を手に入れて、そこにマクスワン氏の遺体を入れます。180㎝のヘイグより少し大きめのその体を中に詰めるのは一苦労だったでしょう。
服や貴重品を外し、ドラム缶を横倒しにして遺体を二つ折りにして中へ。
エプロンと手袋をして、バケツに硫酸を入れていきました。
しかし硫酸から立ち上る煙は想像以上にひどく、こんなはずじゃなかったヘイグはすぐに外へ出なければ耐えられなかったようです。
死体がブクブク言ってる硫酸に沈みきるまで何時間もかかりました。硫酸の反応熱によってキンキンに冷えていたドラム缶もアッツアツ。
仕方が無いのでドラム缶に蓋をして部屋に鍵をかけ、家に帰って寝るヘイグ。
彼のかつての飲み仲間は、二日後にはドロドロになっていました。
実験の進捗を確認しに部屋に戻るヘイグ。ドラム缶をのぞき込むと、黒っぽい粥のような物質に赤い筋が混ざりこんで、とてつもない悪臭を放っていました。
木の棒を使い、マクスワンが完全に溶けたかを確認する姿は、さながら人気家系ラーメン店の店主のようだったのではないでしょうか。
予想よりも溶けてはいましたが、底の方にはまだ何かの塊が残っていたようで、その部分は棒で掘り出し、残りは排水溝に流し込みました。
この作業が終わると、ヘイグは強い陶酔感に包まれたそうです。
人を殺したのに、誰も彼に罪を着せることはできない。死体なんてどこにもないんだから。
つづく
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